平凡なしあわせ

日常のありふれた毎日を綴ります

③カウンセリング娘と共に

 

ある日

母と次女の病気のことを電話で話した

いつも厳しい母が、その時は

 

 

『おまえも大変やな〜無理せんときや』

優しい優しい声で…

 

 

 

そんな優しく語りかけてくれたことは今までなかった、心が晴々とした気分だった…

 

 

カウンセリングは毎週土曜日

夫の運転で通っていた

仕事で疲れているだろうがそんな素振りも

一切見せず

ドライブを楽しんでいた

 

 

ある日のカウンセリング

幼少期を回想するところから…

 

幼少期の私を呼び

母を呼んでごらんとカウンセラーの先生が…

 

呼んでも母の声は聞こえるが姿が見えない

 

何度も

『お母ちゃんー、お母ちゃんー』

 

見えない母の姿を探すがどこにもいない…

 

それが幼少期の私の姿…

 

 

 

この寂しい思いが、次女に同じような寂しい悲しい思いをさせているなんて…

 

思ってもいなかった…

 

 

 

 

私の誕生日祝いに家族みんな揃って

 

外食に出かけた

 

 

その帰り道に

 

 

珍しく弟から電話が入る…

 

 

『お母ちゃんが死んだ!!』

 

 

えっ!まさか!

1週間前に電話で話したよ!

元気だったよ!

えっ!えっ!えっ!なんで??なんで??

 

 

混乱している私に夫は冷静に

自宅に帰りあれこれと私や娘に指示を出し家族四人で実家への道のりを急いだ

 

夫はその日アルコールを飲んでいたため、運転が出来ない、私はペーパードライバー…

運転免許取り立ての長女が運転することになった

 

 

片道車で5時間の距離を休憩しながら一人で運転を頑張ってくれた長女….

 

帰省の車の中でわんわん子どもの様に泣いていた私を見て

 

 

『大丈夫やで!お母さん!私頑張って運転しておばあちゃんのところまでなるべく早く連れて行ってあげるから!』

 

 

本当は免許取り立てで不安だったに違いないのに頑張ってくれた

 

 

あの時の長女の顔は忘れない…

 

『ありがとう!ありがとう!』

 

 

深夜1時頃、実家に到着

兄、姉、弟が出迎えてくれた…

みんな憔悴しきっていた…

 

いつものように風呂に入って

長い時間上がって来ない母を心配した兄が風呂場を覗くと…

浴槽の中でぐったりしており慌てて浴槽から引き上げ、救急車を呼んだか既に息をしていなかったようだ

 

警察の対応や病院での解剖などをして

やっとで帰ったところだと…兄や弟が…

 

 

 

母の顔を見ていると

本当に眠っているかのようで信じられなかった

手を触ると冷たくて…

その冷たさが悲しくて、悲しくて

 

また嗚咽と共に大粒の涙が溢れでた…

 

 

1週間前に喋って元気だったのに…

 

 

 

 

私は母が大好きだった…

私は厳しく育てられいつの日か大喧嘩してから、いろんなことがあり疎遠になっていた

 

そんな事をカウンセラーの先生に言うと

 

『お母さんに娘さんの病気のこと相談出来ますか?』

 

私は絶対に相談出来ない、心配させたくない

と言うと

 

『勇気を出して相談してごらん?電話で話すだけでもいい、お母さんも高齢なんだから今のうちに仲直りしないとね』

って言っていただいたが

 

なかなか母への反発心や

相談しても母の言いそうな否定的な言葉が目に見えて怖くて電話出来なかった…

 

やっと電話したのが1週間前…

 

 

あの優しく励まし答えてくれた母の声だった